世界的企業ハードロック工業の社員数はわずか49人?!

AD




代表取締役社長である若林克彦氏が発明した、「ハードロックナット」が世界的ヒット商品となったハードロック工業。
その社員数は、なんとわずか49名である。
決して大企業ではないこの会社は、いまや世界中から引く手あまたのグローバル企業と化している。
この会社の強みは、「ぜったに緩まないネジ」といわれるハードロックナット。
普通のネジは、ある程度の振動を加え続けると、だんだんと緩みが生じるのが普通だ。なので、ネジを使用しているさまざまな交通機関や工場などでは、定期的にネジが緩んでいないかを確認し、緩んでいれば締め直す、という日々のメンテナンス作業が必須だった。時折、ネジが緩んだままの状態で放置された鉄道車両や航空機が事故を起こすこともあったが、ネジは緩むもの、という常識の中では、よりメンテナンス頻度をあげるなどして対応するしかなかったのだ。
そんな世界の状況に風穴を開けたのが、この会社の製品である「ハードロックナット」だ。
もともと、緩まない究極のネジを追求していた社長の若林克彦氏が、大阪の神社の鳥居を見て、鳥居上部の接合部が、クサビを横から打ち込むことで緩みを防止しているその仕組みを見て、「これだ!」と閃いたのが「ハードロックナット」の機構だ。
鳥居を参考に、作り上げたネジは、世界で最も過酷といわれるNAS(米国航空規格)の振動試験でも緩むことはなく、名実ともに、世界一緩まないネジの称号を得ることに成功した。
このネジは、高速鉄道や航空機、さらには宇宙関連施設など、決してネジが緩んではならない設備に世界中で次から次へと採用されていったのだ。
英国、オーストラリア、中国、韓国、ポーランドなどの各国の鉄道においても採用され、NASAのロケットの発射台にまで使われるこのネジ。
世界中でこのネジを供給できる会社が、この従業員49名のハードロック工業なのだ。このハードロック工業がネジの供給をやめたら、世界が困ってしまうのである。

こういった、「唯一」という独自性をもつ強みというものが、如実に成果として現れているのが、この会社だろう。実は、この「唯一」を売りにしている会社は日本中にたくさん存在するのだが、その多くは中小企業だったりと、その経営基盤が小さい為、なにかあった場合に、海外の企業に吸収され、そのノウハウごと持って行かれてしまう危険性もはらんでいるのだ。
日本政府は、そのあたりも考えて、事前に対策を講じて欲しい。

また、近年、日本の大手電機メーカーが、液晶であったり、半導体だったりから、次々に撤退しているが、これも、この「唯一」という部分が足りなかった為ではないだろうか。
大手日本企業のものづくりの発展のベクトルは、ある技術が誕生した歳、その技術の「数値」を向上させることに向きがちである。
たとえば、デジカメであれば画素数を上げる、液晶であれば、その解像度を上げる、エンジンであれば、燃費を上げる、など、すでに示された方向に向かってその数値を上昇させるのが得意である。そして、その方向へ方向へ、他国の何年も先へ進んで、他を置き去りにしていると、ある日、突然、それまでとは違う方向の技術が登場し、世界の向かう方向自体が変わってしまう。ルールが変わるのだ。そのときに、その方向の数値を工夫と研究で追い続けた日本は大きいダメージを追うことになる。
日本は、その唯一、という部分を、もっともっと提唱できる環境、推奨される環境を整え、世界のルール、市場のルールそのものを根底からもっと違ったものにするような企業が出てくと、変わるのでは、などと思ってしまうのだ。
たとえばそれはGoogleであったりAppleであったり、Amazonであったりのように。