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【簡単に分かる】パルミラ遺跡とは?なぜイスラム国が地雷を仕掛けたの?

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イスラム国(ISIS)が地雷を仕掛けたことでニュースとなったパルミラ遺跡。

では、このパルミラ遺跡とは何か。どのような遺跡なのか。文化的な価値とは?

まず、パルミラ遺跡は、どこにあるのだろう。その場所とは?
これは、シリアの首都であるダマスカスの北東、約215キロに位置する「シリア砂漠」の中にあるのだ。

パルミラの場所は7万5000万年前の旧石器時代から人が住んでいたようだ。
しかし、この地が遺跡と共に人々の記憶に残る土地となるのは、紀元前3世紀ごろである。

紀元前3世紀といってもピンとこないかもしれない。

ヒストリエという漫画をご存じだろうか。
マケドニア王国のアレクサンドロス大王に仕えた、書記官エウメネスの生涯を描いた作品である。
この時代こそまさに、パルミラが歴史に記録されはじめた時代なのだ。
そして、アレクサンドロス大王(アレキサンダー大王)が死去し、その後パルミラは独立都市となる。
これが紀元前3世紀ごろ。
そこから200年が経過し、紀元前1世紀を過ぎるころになって、パルミラの遺跡となる建物が建設され始めた。

その頃に作られパルミラ遺跡の中心的存在とも言えるのが「ベル神殿」と呼ばれる巨大な神殿だ。
そのサイズは縦横、205メートル×210メートル。
東京ドームの直径が244メートルなので、
東京ドームの建物の敷地にちょうど収まるくらいの大きさだ。
中東において「紀元前1世紀の最も重要な宗教的建造物」とも呼ばれている。画像や写真などはインターネット上で検索すると大量にあるので、そちらを見て欲しい。

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その頃日本では?

日本でいえば、まさに弥生時代が始まるころである。
そう、日本ではようやく紀元前5世紀ころに稲作技術が大陸から伝わってきたばかり。
高床式倉庫などが発明され、ネズミの被害にさらされることなく米を貯蔵できるようにもなった。
これで、狩猟中心の不安定な生活から、安心して定住ができるようになり、人々にゆとりが生まれた。
明日の生きることに心配しなくても良い生活が始まったことで、そこに大きい人間社会が形成され、集落間の戦いまでもが生まれたのがその頃。
この時に、すでにシリアの地においては、東京ドームクラスの規模の建築物が建造されていたことになる。
そして大国同士が戦争を繰り広げていたのである。


パルミラはすでに観光地と化したイタリアのローマなどと違って、まだ多くの観光客が訪れていないこともあり、かつての古代ローマ時代の空気や荘厳さをより味わえる穴場ともなっていた。

あの、古代ローマの浴場技師を描いたヤマザキマリさんの漫画「テルマエロマエ」。
映画化もされて日本でブームになったあれだ。
そのテルマエロマエの舞台が紀元130年ごろの古代ローマ。
パルミラの遺跡が建設されていたのもこのあたりだ。
まさに、浴場技師ルシウスが風呂を作っていたころ、パルミラの遺跡も、あの作中に出てくるような人たちによって建設されていたのである。

あの漫画の作者である「ヤマザキマリ」さんは、古代ローマオタクのご主人がおり、旦那と子供と3人で古代遺跡めぐりをよくしているそうだ。
その記録が彼女の著作「世界の果てでも漫画描き」というエッセイ漫画で語られており、そこに、今回話題になった「パルミラ遺跡」を巡る記述があるのだ。
まさに、リアルなパルミラ遺跡、というものを、この漫画を読むと感じることができる。
そして、ヤマザキマリさんも、自身のTwitterにおいて、今回のイスラム国の行動について嘆いている。

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ツイッターでも紹介されているこの漫画。ものすごいお勧めなのでぜひ読んでみて欲しい。
世界の果てでも漫画描き 2 エジプト・シリア編 (創美社コミックス)

パルミラ遺跡といえば、他にも列柱道路、ディオクレティアヌスの浴場(お風呂だ!)、ローマ劇場、ディオクレティアヌス城砦、など、その見どころは沢山ある。

この辺の遺跡は、先述したベル神殿よりかなり後になって作られたものだ。
まあ現代からすれば、どれも太古の大昔になってしまうが、ディオクレティアヌスの浴場などは、ベル神殿からさらに300年ほど後に作られたのだ。
この当時に暮らしていれば、作られたばかりの最新「ディオクレティアヌスの浴場」に対して、すでに遺跡とまでは行かないが、相当に昔(300年も前)につくられた由緒正しい歴史ある「ベル神殿」、といった感じだったのだろう。
ディオクレティアヌスというのは、西暦284年から305年まで生きたローマ帝国の皇帝である。

このような古代ローマ地代の息吹を感じることができ、現存する貴重な遺跡である「パルミラ遺跡」。
ここが、いままさに、数千年の時の積み重ねと共に破壊されようとしている、との報道があったのだ。
イギリスに拠点を置く「シリア人権監視団」が、パルミラ古代遺跡に爆弾や地雷を仕掛けたと伝えたという。

なぜ、どうして、彼らはそんなことをするのだろうか?その理由とは何なのか?疑問に思う人も多いだろう。

なぜかといえば、イスラム教は「偶像崇拝」を禁じているからである。

仏教は偶像崇拝だ。そう、仏像に代表されるように、神様を形として表すことが認められている。

しかし、それがイスラム教では禁止されているのだ。

かつての遺跡群は多くの「偶像」を含んでいるため、破壊する、というのがその理由のようだ。

また、彼らが支配したこの地を奪還しに訪れた敵に対する備えとしての地雷でもあるだろう。

今後の動向が気になるところである。