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スパコン世界一奪還に向けた暁光開発の最前線

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スパコン世界一の座を巡って世界各国で開発競争が激化しています。
それは日本も例外ではありません。
日本にはかつて「地球シミュレータ」をいうスパコンを開発し2002年には世界一の座を獲得したことがありました。
一度は米国に逆転され王座の地位を明け渡してしまいましたが、2011年に理化学研究所の「京(けい)」が王座奪還に成功しました。
ですが、それ以降は米国、中国の勢いを止めることができず現在は世界8位をなってしまいました。
今は、中国が9年連続でスパコン世界一の座を獲得しています。


なぜ各国がスパコン開発を行うのか

スパコンという名前は聞いたことがあっても、どういったものなのか、なぜこれほど開発が激化するのかといった疑問をお持ちかもしれません。
スパコンつまりスーパーコンピュータとは一言でいえば「性能の最大限に高めたパソコン」と考えていただいて問題ありません。
スパコンの歴史を振り返るともっとも初期のスパコンが使用されていた分野は軍事分野でした。

なぜ、世界各国がこれほどまで予算を投じてスパコンを開発するのかと言うと、スパコンはその性能を数値として比べることができます。
つまりスパコンを開発してその性能を上げていくことで自国の技術力を世界中にアピールすることができるのです。
さらに、これからは「人工知能 AI」がますます社会に広がっていくことが知られています。
スパコンはその人工知能を動かすためにも重要な要素となっており、性能の高いスパコンを開発しシェアを獲得することで国際的な影響力を持つこともできるようになります。

スパコンは一見すると単純な性能競争のように思うかもしれませんが、実はこれからの世界をリードしていくためには重要な分野なのです。


日本のスパコンの歴史

冒頭でもお話しましたが、日本は2度スパコン世界一の座に輝いたことがありました。
1度目は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)に設置されている「地球シミュレータ」です。
名前からわかる通り、コンピューター上に仮想的に地球を再現し、そこで様々な変動のメカニズムを解明することを目的に開発されました。
そして、2002年には世界最速のスパコンであることを証明するためLINPACKベンチマークテストに挑戦しそれまで世界最速の座に付いていた
米国よりも5倍近く高い性能発揮し世界一の座につきました。

その後に開発されたのが理化学研究所の「京(けい)」です。
新聞やテレビなどで特集が組まれたこともあるので耳にしたことがある方も多くいらっしゃると思います。
京は、神戸市にある理化学研究所計算科学研究機構に設置されています。
開発には、1,120億円という多額の予算が投入され2012年より運用が開始されています。
開発費には税金があてられたため、2009年の事業仕分けにより一度は「事実上の凍結」という判断がくだされましたが、
政府により判定の見直しが行われ現在でも開発が続いています。
その結果、「Graph500」というスパコンの性能を競うためのランキングで2014年、2015年7月、11月、2016年7月、11月、2017年6月に1位を獲得しました。
京は、「汎用型スパコン」と言われており、ライフサイエンスや医療、物理学など様々な分野に用いられています。


暁光(ぎょうこう)とは

現在、日本がスパコン世界一の座を奪還するために開発を進めているのが新たなスパコン「暁光」です。
おそらくほとんどの方がこのスパコンの名を聞いたことがないと思います。
しかし、間も無く計算速度の世界ランキングで3位になることが予想されており、
かつての「技術立国日本」を取り戻すため日夜研究、開発が行われています。

暁光にはこれまで日本で開発されてきたスパコンの地球シミュレータや京とは大きく違う点があります。
それは、スパコンの性能を高めるために非常に重要な要素である「冷却システム」です。
これまでのスパコンでは空冷や水冷という冷却システムが用いられてきました。
空冷とはその名の通り、ファンでスパコン内部に空気を送り込み冷却する仕組みです。
一方水冷は、まず機器内に冷却用の配管を設置します。その配管の中に冷却水を流しスパコンを冷却する方法です。

しかし、暁光に用いられている冷却システムはこの2つとは全く異なります。
暁光で使われている冷却システムは「液浸冷却システム」と呼ばれています。
簡単に説明すると「冷却液の中にスパコンを丸ごと沈めて冷却する方法」です。
この方法は、これまでの冷却システムより省エネでかつ効率的に冷却できるので
膨大なエネルギーを必要とするスパコンには最適なシステムだといます


蓮舫氏による仕分け事件

スパコンという言葉が一気に社会に広がったのが、旧民主党時代に行われた事業仕分けの時です。
スパコンの開発には膨大な予算が必要になり、京の場合には1000億円を超える税金が投入されました。
仕分けの担当者からの意見として上がったのが、

「性能を上げること自体が目的となっている。スパコンをどう生かすのかが重要だ」
「スパコンの必要性は理解できるが、世界1を目指す意味があるのか」

といったことでした。

一方開発チームからは、

「スパコンを使うこで科学技術を飛躍的に発展されることができる」
「最先端のIT技術の獲得は国家に必要である」

という意見が出されました。
事業仕分けチームの最終的は判断は、「事実上の凍結」という結果でした。

その結果を受けて、スパコンについて様々な議論が行われました。
結局、政府によってこの判断が見直され2010年度予算に227億円の計上が決定されました。
この事業仕分けに対しては、賛否両論様々な意見があります。
しかし、その後も開発は続けられ世界一を獲得したのが変えようのない事実です。


ライバル(アメリカ・中国)の動向

スパコン開発において最大のライバルと言えるのが、アメリカ、中国の2カ国です。
現在のスパコンランキングの上位50%はアメリカが占めています。
アメリカのスパコンは軍事研究に利用されることが多く、国力を上げてスパコンの研究開発を行なっています。

一方中国も、独自CPUの開発とそれに伴うスパコンの開発を進めています。
中国で開発されている独自CPU「龍芯」には一時知的財産権侵害の問題等があり日本やアメリカから権利軽視の批判を受けることもありましたが、
現在は解決し、アメリカについでスパコンの強豪国となっています。


日本のスパコンの未来

かつて日本は技術立国と言われスパコンなど様々な技術的分野で世界のトップに立っていました。
しかしながら、多くの問題があり残念なことに今はそれが幻想になりつつあります。
これから、人工知能をはじめIT技術が国力と直結する時代が訪れます。
IT分野は「ソフト」と「ハード」に2つに分けることができ、
ソフトの分野は英語を母国語とするアメリカに勝つことはとても困難です。
でも日本はものづくりつまりハードに関してはまだまだ世界トップクラスの技術を保持しています。
日本がもう一度技術立国と言われるようになればスパコン世界一の座も夢ではありません。